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「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書」提出に関する陳情に賛成した理由

 今回の定例会では、男女平等や性に関する陳情が2点提出されました。それぞれの党派に様々な意見があり、会派内で賛否が分かれたため、私自身の陳情に賛成した理由を明らかにしておきます。

 「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書」提出に関する陳情に賛成した背景には、私自身が子どもの権利条約の批准と実施を求めて活動してきた経験があります。
 私は1998年にNGOの一員として、条約発効をうけて誕生した子どもの権利委員会による、日本政府の第1回締約国報告審査を傍聴しました。委員会は締約国の実態を知るため、市民社会(NGO)からヒアリングして政府の審査に臨んでいました。
 たとえば「委員会は、締約国が、児童に関する包括的政策を発展させ、条約の実施の効果的な監視及び評価を確保するために、国家及び地方の双方のレヴェルにおいて、児童の権利に関連する各種の政府メカニズム間の調整を強化することを勧告」された1998年当時は、政府が十分受け止めませんでした。
 委員会の総括所見(勧告)には法的拘束力がないものの、それを受けて政府と市民社会の対話が重要と考えられてきました。私たちNGOも、定期的に国との対話を重ねましたし、国会でも取り上げました。
 さらに子ども施策の現場を担う自治体が条例制定による子どもの権利保障に動き、川崎市の子どもの権利条例や川西市の子どもの権利オンブズパーソン条例が成立しました。
 そうした長い年月をかけた市民社会との対話や自治体の動きを受けて、総合的な子ども施策を推進する法律や体制は「こども基本法」と「こども家庭庁」に結実したのです。このプロセスは女性や障がい者も同じだと考えます。
 今般の選択議定書の「個人通報制度」「調査制度」については、司法制度との関係で慎重な検討を求める意見がありますが、国内での救済手続が尽くされた後も権利が回復されない場合の制度であり法的拘束力がないものです。
 こうした国際的な人権枠組みに対して「内政干渉」との意見がありますが、国連はアフガンの女性の問題や中国の少数民族の問題にも様々な指摘をしており、それらを「内政干渉」とは言わない方々も多いのではないでしょうか。
 市の男女平等推進条例でも「我が国においては(略)条約に基づく国際社会における取組とも連動しつつ、男女平等の実現に向けた様々な取組が進められてきた」と、男女平等の取り組みが一国単位で進んできたわけではないことを、前文で紹介しています。
 自民党会派の反対討論で、女性だけ特別に権利を認めるのかとの趣旨の発言がありましたが、日本における男女差別の実態を見ていません。
 市の2023年度男女平等に関する意識調査によると、育児の平均時間が、女性は8時間以上27.1%、男性は1時間未満と1~2時間未満がともに29.9%で最も多く、家庭生活の場で「男女の地位は平等になっている」と回答したのは、男性34.1%、女性17.9%と16.2ポイントの差があります。
 この陳情は3月12日(火)の本会議で賛成多数で採択され、武蔵野市議会から国に対して意見書が送付されます。

陳情文はこちら

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